>「外資系ということでもう一つ安心感、信頼感をユーザーに与えることができ
>なかった。Linuxに造詣の深いSRAさんに親会社になってもらいたいと思い働き
>かけてきたが、6か月の話し合いを経てSRAさんの完全傘下に入ることになった
>」(ターボリナックス・ジャパン社長で新生ターボリナックスの社長に就任�>定の矢野広一氏)という。
岡田コメント(原稿ドラフト)
「外資系ということで」の一言が引っかかる。マーケティングやブランディングの問題であることは事実なのだが、その問題の中心を直視できているのかどうか。外資系ということはユーザは一切意識してこなかった。むしろ国産であることの印象のほうが強い。それだけに、国内における開発・サポート体制の顔が見えないことが支持者層に訴える力不足に結びついていたのは否めない。
オラクルとの政治的生命線がとだえ、またMiracle LinuxがTurboベースからRed Hatベースに変わった時点で、国産ディストリビューションとしての新たな活路を見出す苦渋の旅が始まったはずだ。そこででた一つの戦略がデスクトップ市場だ。実際に、今年リリースされてきた Workstationシリーズは良くできているとの意見が聞かれる。一方、エンタプライズ分野での威力は衰える一方である。それは、アップデートパッケージについてもいえる。
実は、5月、6月ごろにマーケット戦略関係筋には同社のデータベース関連製品のリリース(以下、Turbo DB)が用意されていることが伝わっていた。その背景にはPostgreSQLのブランディングに力を入れ続けている、SRA傘下に入るための方向性を示すためだったとも伝えられている。United Linuxリリース、SRA買収リリース、Turbo DBリリースの順番をどうするかは非常にシリアスな問題だったに違いない。
ステイクホルダーである株主に対する戦略として、一部には「新しいビジネスモデルだ」との冷笑もあるようだ。というのは、Turbo Linuxがその出資企業に対し今後の方向性や企業としての事業存続についての目途が立たない状況で、その真っ赤な株券を換金するためには、上場会社に吸収してもらい、SRAの株券に化けるのが最短距離であるからだ。
しかし、SRAが中、長期的に市場に好感を持たれるようにする必要がある。一つには、今回の吸収が赤字会社の救済だということはどうなのか。また、SRAのSIerとしての自由度を狭める結果になりはしないかという危惧を与えるのは大いにマイナス要因ではないか。一方、SRA株はここのところ激しくアップダウンを繰り返しており、ここ最近も底値を更新していた。予測筋もあり、昨日45円の値上がりを見せた。ここ数日の一時的な値上がりも予想されるだろう。しかし、これでは、SRAの株価の先行きに大きなインパクトがあるどころか、マイナス要因にならなければいいのだがと危惧するところである。
いずれにせよ、Turbo Linuxのデスクトップ市場、サーバインフラ市場、特にデータベース市場への各々に対するこれまでのアプローチに対し、SRAがどのように舵取りをしていくのか、またSIerとしてのSRAがそれをどう扱っていくのかを見せることが当面の緊急課題だ。それは、技術的な問題にとどまらないということだ。
p.s. なお、この時点でここ2日間にわかに上がったSRA株価は下がり始めている。
No comments:
Post a Comment