紹介するまでもないが、誰が書いたのかということがあまり説明されていないのであえて書くと、「オープンソース」ではおなじみのエリックレイモンド(ESR)による、SCO vs IBMのUNIX関連訴訟についての、ポジションペーパの日本語訳。オープンソース陣営への影響、そして歴史の経緯から見た、裁判の方向性に関する勧告も含まれている。
opensource.jpが何モノなのかが非常にわかりにくいよ、さどっち、とかそういう突っ込みはさておき、ESRの、あのとってもわかりにくい、よく言えばnobleな英語をここまでわかりやすく訳したのは、さすがトップスタジオというところだろう。またOSI-jp(仮にそう呼ぶことにするが)のこの迅速な翻訳タスクへのシフトは高い評価に値する。
さて、ざっと読むに、今後の係争に対するポジションペーパというより、だんだん、もう済んだ出来事に思えてきて、判例を読んでいる気分になったのはわたしだけではあるまい。「UNIXの歴史に関するチュートリアルではない」と書かれているものの、オープンソース開発と発展の大綱をつかむには、へたなクロニクルより、こういう「もめごと」を中心にした体系はわかりやすい。
このドキュメントに対するSCOによる反論文書、あるいはIBMによる追記などが出るともっと面白いのだがね。
IBMについて言えば、日本においてさえ、社内のオープンソース開発関係者には、「オープンソース関係者の刻印(烙印ともいえるかな)」の押印を徹底している。これは結構知られているようでそうでもないのかもしれない。自社の取り組みについて見せるには絶好の機会なので、どのように見せてくるのかも楽しみにしたいものだ。(同様のセパレーションの努力を日立も行なっていると聞いている。)
この問題がどのようなプロセスを経て決着を見るか、そしてその決着として企業としてのSCOがどのような生命維持活動をするのかだけではない。観察者であるところの、さまざまな業態に及ぶオープンソース関連の開発事業を行う主体者、また支援者にどのようなリスクヘッジスタンダードが流布されることになるのか。
観察してわかったことをまとめていくつもりだが、せっかくの機会なので仮説をたててみようと思う。
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