23 February, 2003

419事件−マネーロンダリング

ここ半年くらいのことである。南アフリカ銀行の頭取を始め、いろいろ海外の金融機関からメールが来るようになった。同じ頃、それなりな筋の方から「マネーロンダリング関連の、かくかくしかじかこれこれなメールが来るのだが、どう思う?」という相談があったこともあり、それが少なくとも本物ではなく、悪くすれば悪質な詐欺であろうという線は予想していた。

なんでも、銀行口座の資産の所有者の死後数年たって、権利関係がExpireしたのでそれを資産化するために協力して欲しい、あなたの取り分は25%、というような内容。わたしのところに実名でやってきたオファーのうち、最高額は58億。どだいふざけているとしか思えないものだ。しかし、それに応じて連絡すると、膨大な資料をFAXないしは送付してくるし、電話もかかってきて、それらしき資料のやりとりが毎日のように始まったそうだ。なかなかまことしやかな話しにできあがっている。

たとえば、わたしのところに来たメールのうち一通の差出人の国は南アフリカ。南ア銀行の支店長からのメールだった。一度渡航したことがある。その後、その他の国からも来たが、大抵は渡航経験のある国ないしは心当たりのあるところだ。少なからぬビジネス上のやりとりもあり、たとえば南アフリカ銀行などは、そうそう見知らぬものでもないところが、また良くできている話しだというわけだ。詐欺の手口の基本、それは「前金」。10億以上の金をえさに、「60万ほど手続き費用をくれ」だの、「送金用の口座の開設費用にいくら」とか言ってくるんだそうだ。あほいえ。目の前にある、黒い金を使わんかい、とは、日本人は言わないようだ。ほとほとお人よしな民族である。

いつ日記に書こうかと思いきや、ちょうど今日、テレビでその特集をやっていた。なんと、その金につられてナイジェリアまで渡航したバカモノがいるらしい。しかし、この種の詐欺は今に始まったことではなく、欧米をターゲットにやりつくされた犯罪らしい。ナイジェリア刑法419条にちなんで419事件と命名され、その被害総額は6500億といわれるんだそうだ。さすがに成熟しきった詐欺だけあって、次の詐欺、その次の詐欺、そして最後は被害者救済会というとっておきの詐欺が待っていて、最終的には身の安全と無事の帰国と引き換えに700万近くひっぺがされた人もいるらしい。

不況日本とはいえ、自己過信の足元をすくわれないよう、こころされたし。

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