某サイトで見かけてコメントしたこの記事「本当に転職に有利なのか? 日本の社会人大学院事情」。
あらあら、タイトルに「本当に」とかつけると、「そうでない例」に着目するわけだから、その路線で終えちゃうと、そこはかとなく浅い。タイトルと結論だけで、あからさまなバイアスが見えておしまい。中身は案の定、タイトルの「転職に有利なのかどうか」という問題にすら根拠(複数の客観的事実、あるいは論証済みのものが「根拠」の最低条件とすると)がない単なる意見の羅列。肝心の、就職状況における需要側の欲しいスキルセットと訓練の中身のマッチングには残念ながら切り込んでおらず、筆者のイメージとお仲間の世界。
So what? だからどうなの、という部分は読者が考えろというメッセージなのかな。
どうせ不況産業なんだからさー、そんなに浅い意見ならスルーしとけばって感じ。あるいは、タイトルが「本当に」はじまりで、結論が「本当だった!」なんてオチの記事だったらむしろ話題として面白いのに・・・。
専門資格が転職に有利かどうかという問いかけだけど。
「有利」って何をもって言うのかな。就業をかけた全体的な競争力、ではないでしょう。年俸?職責? 全体的就職難の中、資格が守備範囲を拡げるって意味でもないよね。
受け入れ側の募集に資格が明示されているとしましょう。薬剤師にしても医者にしてもネットワークスペシャリストにしてもPh.Dにしてもlawyerにしてもmbaにしても。それぞれの資格は就ける職種をむしろ狭めてしまう。さらに、そこでその資格ホルダー同士での取捨選択になる。それぞれにさらに熾烈な競争ができちゃうわけ。
そこが、資格など、足の裏の米粒だと言われるゆえんでしょうよ。つまりは、そのフィールドでの戦いがあることを度外視して、ラベルのために資格とってもしょうがないじゃん?ということ。
ここで間違えてはいけないのは、専門教育や訓練に、職業人として意味があるのかどうかとは別問題だということ。
たとえば、社会人大学なり大学院は、経験ありきで職能を伸ばす枠組みだろう。なにがしかの職業で専門をやると決めるんなら、成り行きの現場でのたたき上げに依存するより、どっか行ってちゃんと訓練するほうが確実に早い。ネットワーク効果も度外視できない。
だから、会社の研修だろうが、企業派遣の大学院だろうが、自腹で突撃だろうが、訓練の結果のラベルではなく訓練プロセスに注目してやれるやつにとっては、そういうものを「梃」にして、何倍も成長する確率を上げられる。
そういう行動特性が異なる人材に、進歩や変化のスピードへの取り組み方の違いがあると考えるのは、はずしてはいない。あとは、需要サイドにマッチするかどうかの問題で、それは転職競争力とは関係ない。
いずれにしても、訓練なんてそれぞれの個人の好みと直観に大きく依存する相対的な価値で、ゆえに「王道」を定義する必要すらない。
進歩と変化に関心があるんなら、やりたいことをやりきるために、現実的な手段を選択してがっと行けばいいのだ。
この元記事の山崎元氏がご自慢の人脈からの情報で評論されるんなら、どういう人に、どういう訓練必要で、それがどういう社会や企業のニーズに合うのか、見逃されてるのはどういうものなのか、なんてところをばしっと切り込んでいただきたいものだ。
# disってなんぼなのでしょうけども ;-p
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