21 February, 2007
群衆の英知(WoC)による左下親不知抜歯、大成功の巻
そこで今回こだわったのは、Wisdom of Crowds[群衆の英知|叡智]。短くまとめるほど難しく聞こえる言葉なのですが、私なりに分解しますと「ばらばらで、十分の数の集団の意見を集約すると、一部の専門家が判断するより正解率の高い、実際の結果を出す力がある。それは「群衆」が一体として「知恵」を持っているように見える」という現象を指す言葉です。これをWoC(ウォック)と省略することにします。
これにより、WoCを集約できる仕組みがあれば、事前に相当正確な予測ができる分野があるはずだとの実験が重ねられてきました。欧米で立ち上がっている「予測市場(Prediction Market)」サイトでは、大統領選挙の得票率、部門別のアカデミー賞受賞者、映画の興行収入、フットボールの優勝チームなどをかなり事前に予測できることが実証されています。
こういう話が大好きだと思われる梅田望夫氏は、自身のblogや、著作「Web進化論」で言及しています。本年のキートピックと思われる言葉だと思います。
※ 詳しくは、「みんなの意見は案外正しい」というひどい邦題をつけられた書籍(原題「Wisdom of Crowd」ジェームズ・スロウィッキー著)をご一読。面白いよ。
さてさて、今回の抜歯の話に戻りましょう。WoCを斜に見てプロセスを楽しんでみました。
私の住まいの周辺は歯科が乱立しています。ここで生まれ育ったわけではないので、馴染みの医者もありません。Yahoo電話帳によると、歯科は東京都に1万件以上、中央区に絞ってもおよそ500件。Googleのランキングが機能する業界だとも思えないし、blogを集約しても結論は出ないでしょう。悩ましい・・・。ネットの力の限界を超えたニーズは、こういうリアルの世界にまだまだありますね。
そんな折、2,3ヶ月前のこと、たまたまとおりすがりの本屋で「患者が決めた!いい病院 関東圏」を見つけました。30万人アンケートをoriconが書籍化したんだそうな。そうか、oriconって昔からWoCビジネスをしてきたんだなあ、などと思いつつ購入。
書籍はコレ
http://www.amazon.co.jp/okdt-22/dp/4871310787/
WEB版 (でも本のほうが見やすい)
http://isha.oricon.co.jp/rank/index.php
この本では、歯科の項目で東京都中央区の歯科はわずか2件。いいね!ぐっと絞れましたよ!127位に見つけた「鈴木歯科クリニック」に決めました。なぜか?127位だなんて、とおっしゃるかもしれないが、この母数から関東圏で127位はすごいでしょう、という理由だけではありません。
二件中一件は聖路加オフィスタワーの一階にある歯科。鈴木歯科より若干上位です。ここはタワーに入居しているオフィス人口からして得票のしやすさはある。いや、腕が悪いというのはないだろうけど、予約が取れないと書いてあることからして、オフィスタワーの立地環境によるロックイン、あるいは「わりと良い」レベルでのネットワーク効果が集中的に起きている可能性があると見ました。
一方、鈴木歯科は確かにオフィス街にあるとはいえ、八丁堀のこの界隈は他に歯科が数件あり、人の往来も多い。人口、競争ともに十分エントロピーが高い環境で堂々ランクインという結果は、オープン性の土俵での実力勝利だと思われる。WoC(Wisdom of Crowds)[群衆の英知]が効いた「それなりのわけ」があると考えられると見ました。
難しく考えすぎ?(w
とりあえず、3週間くらい前に初診。ファーストインプレッションから大変好感触。丁寧で、解説も明快。先生の人柄、歯科衛生士のスタッフも好感が持てる(要するに・・・いや、これくらいにしておこう)。
またぐっとくるところは、この医者、WEBがわかっているね。たとえば、ユーザにとっての利便性というところでは、メールで相談を投げてみるとあっさり返信が帰ってきて、最初の予約までとってもスムース。派手さはないが、基本的なネットのオペレーションがきっちり。わかってる!
鈴木歯科クリニック
http://www.suzudc.com/
さて、やっと左下親不知抜歯の話です。
下の親不知を抜くのは二回目。術後が腫れますよね。抜歯の日程は、インドネシア出張、沖縄合宿と、次の会議ラッシュの間で決めました。ベストな日程のはずだったのだけど、そんなものは、いざ抜歯するとなると関係ないね。「もう痛くないし、逃げちゃおうか」と思ったけど、心の中でじたばたしながら行きましたよ、昨日。先生には、開口一番、「いやはや、本日はぶっちしちゃおうかと思ったんですが来ました」と意味のないボケをかましてみたり。
全体レントゲンは以前採っていたのだが、今回は施術前にピンポイントのレントゲンを再度撮りなおし、準備万端で。スタッフの1時間くらいかけて抜歯完了。
その間のことも書いておこう。
「ダイジョウブデスカー」コールはまるでバリ島のマッサージのお姉さんのような癒し系コール。こちらは口が完全に拘束されているため「ハーイ」って言えないんで手のひらをひらひらさせたりOKを作ったりするんだけど、そのフィードバックを「ダイジョウブデスネー」って復唱してくれるんだよね。
ちくっと痛くなる直前のタイミングで「ゴメンナサイ!」。そうそう、麻酔の注射が入った瞬間、電子音で音楽がなるんだよ。あれはびっくりした。そっちに注意が行っちゃうもの。気持ちよいタオルで目隠しされてたんで正確にはわかんないんだけど、どうもガンタイプになっているようで、麻酔薬を注入している間鳴っているようだ。医者にも患者にも便利なアイデアだね。
「鼻で息をしてくださいねー」など絶妙のタイミングのアドバイス、そして適度な休憩。最後は「抜けましたよー」「抜けました抜けました」って二人して。ええ?「大きな男の子デスヨー」みたいなくらいの感じ?(笑
小一時間ぐりぐりやられながら、うまいなーと思いました。
こういう個別のサービスは全体として満足をもたらすものなので、こんな細かい記述は、クチコミをするにもめんどくさすぎるだろうね。でも、この歯科は現時点で東京都中央区で一番満足をもたらしてくれるはずだ。なぜって?だってサービス分析の専門家のオレが言ってるんだから。
それが信用できないから群衆の英知なんだよね(笑
WoCサイコウ!
01 February, 2007
the-piece-of-shiitake
I have 7,703 email addresses in Entourage. I am not going to re-type them into the piece-of-shiitake, done-as-an-afterthought address book that companies build into their products.
shiitake? この使われ方からすれば、どちらかというとネガティブな雰囲気だ。Wikipediaには「比喩」で使われるケースの解説はなかった。Googleで"shiitake"を検索し、お料理レシピ関連を除いてみると、ごく少数だけど、ちらほら見つかった。「これこれこういうのって超ダサい。shiitake.」みたいに、なんとなく今回の使い方と共通項があるようだ。
早速、Guy Kawasakiにメールして意味を尋ねたら、出張中だとかで秘書の方から代理で返信が来て、そのわりには一通りディスカッションを楽しんだ。日本人だから椎茸が「a kind of mashroom」だとかは知ってるよね、なんとか話しているうちにようやくわかってきた。たとえばこういう使い方でいい?
When I enjoy some web-sites, I suddenly face the crash of Windows Internet Explorer. I can say "How sad this shiitake browser is...", instead of saying loudly "s**t browser bozo-made!!" or like this. Right?
You got it!だそうだ(笑
椎茸をあしざまに言うとはけしからんのだが、要は、a way of swearing without swearingすなわち「ネガティブ」な印象を露骨な表現を回避してやんわり言う、ダジャレスラングなんだね。
人も物もソリューションも新製品もblogも、、、見かけたときは、いかにもジェントルにどうぞ。
Wow, an amount of shiitake.
うへぇ、他人事じゃないや。
22 December, 2006
SPAMをリモートで消しこむマジックハンド
いや、問題はメールの保存期間ではない。 そのメールのほとんどがSPAMだもの。8000件中、少なくとも7000件はSPAM。それを再fetchしてごみ掃除をするなんて鬱陶しい・・・。
普段、私 のSPAM対策環境は三段構え。サーバでKaspersky Antispam(95%以上判断)、取得経路にPOPFile(私にとってのSPAMを判断)、最後にメーラーのSPAMフィルタ(前者を信じてゴミ箱 に投げ込む)。
サーバにメールが配送された時点で95%は完了している。ただ、サーバ管理者のポリシーから、それらのメールは削除されず、「これは SPAMですよ」というマーキングがしてあるだけ。だから8000通もサーバに残っているわけで、同様の理由でメール通知関連の機能は一切使っていない。
GMailのSPAMハンドリングは便利だが、私にとってGMailは「別系統」であるところに価値を感じているので、メーラからGMailにアクセスするという使い方はしていない。
で、 本題に戻って、8000通も再取得せずになんとかしたい。事前に消えていればかなり便利じゃない?もちろんtelnetで手動でPOPプロトコルをたたく のは十分可能なんだが、8000通もやるのは現実的ではない。そう、欲しいのは、「マジックハンド」のような、POPのDELEコマンドを器用に使えるツールだ。
フリーのツールを探してみたら、「Spam Mail Killer」というのが見つかった。
http://www.forest.impress.co.jp/lib/inet/mail/antispam/spamkiller.html
ス パムなどの迷惑メールをPOPサーバーから自動で削除するメールチェッカー。タスクトレイに常駐して一定時間おきにPOPサーバーをチェックし、あらかじ め指定した削除条件にあうメールがPOPサーバーにあればサーバーから自動削除。残りを新着メールとしてサウンドやタスクトレイアイコンの点滅で通知す る。削除条件には送信者、宛先、Return-Pathなどに含まれるメールアドレス、およびメールヘッダーの任意の文字列を複数指定できる。・・・ 複数メールアカウント対応で、削除条件の設定画面では新着メールのヘッダーを参照しながら設定できるようになっている。
おお、ゴージャスな機能がついているね。しかも最近アップデートされたようだ。いわゆるBlacklist方式でSPAM対策することを目的に作りこまれて いるので、このツールだけでSPAM対策は完結しない。私の場合、サーバに配送された時点でほとんどの判断が終わっているので、メールヘッダの記載を指定 するだけでかなり十分に機能する。Spamassassinを仕込んでいる人にも有効だろう。条件に正規表現も書けるところがまたイイ。
超便利だわ、これ。
標準ツールに決定。
04 December, 2006
「コンピューターのロック」をするボタン
利用頻度からすれば、PCのロックのほうが欲しい。この機能はWindowsのビルトイン機能で言うところの「コンピューターのロック」ですね。このショートカットを同様の方法で作ろうと調べると、キーボードショートカット「Windowsキー + L」があると知りましたが、残念ながら、私の常用しているキーボードにはWindowsキーは存在しないもの。
と言っている間に簡単に作れましたので、以下に手順を示します。
1. デスクトップ上で右クリックし、「新規作成」→「ショートカット」を選択する。
2. すると、そのショートカットの内容を記述するように求められるので、
「rundll32 user32.dll,LockWorkStation」と記述。(copy & pasteするといいです。)
3. 「このショートカットの名前」として、自動で表示される「rundll32.exe」ではわかりにくいですので、ここをたとえば「PCのロック」などに変更し、「完了」をクリック。
4. 出来上がり。デフォルトではアイコンの選択の余地がないのがさびしい気もしますが、別に目立つ必要もないし、さりげないのがかえって良いかもね。
思いのほかスムーズにロックしてくれます。デスクを立つ時、ぽちっと押してください。「意図的」なセキュリティ、いいものですよ。
ここからはオマケ。
このボタン、あまりかっこよくないぞ?という方のために上級者用?TIPSを書いておきます。作成したショートカットを右クリックし、プロパティを開きます。
次に出たウィンドウで「アイコンの変更」をクリック。この時点ではたいした選択肢がない。そこで、
C:\Windows\system32\shell32.dll
あるいは、
%SystemRoot%\system32\shell32.dll
を選択しますと、たくさんアイコンの選択肢が増え、キーホルダーのようなアイコンを選ぶことができます。
私のデスクトップでは、こんな感じになっています。
ご参考まで。
10 November, 2006
オープンソースへの評価といえるか?マイクロソフトとノベルの提携
マイクロソフトとノベルの提携に関する一人ブレスト。
Moglen教授のオープンソースライセンスとの兼ね合いなどを懸念する声もあれば、OSDLのオープンソースの重要性への評価だとか、Redhatの勝利宣言とかもあり、オープンソース関連情勢には大きな波紋を呼んだ。
しかし、この提携はマイクロソフトのオープンソースへの評価を意味しているとは言えないんじゃないか。むしろ、どちらかと言えばリスクが高まったかもしれない。(エンドユーザのリスクについてはもう少し考えたいと思う。)
今回の提携で日本での報道ではあまり表に出ない、重要性のある言葉、それは「相互運用性-interoperabilityのための提携」という部分だ。
欧州はじめ、e-Goverment戦略の中で、相互運用性を確保できる技術でないと採用することに問題があるという声は世界中で高まっている。日本もしかり。それに関してマイクロソフトに対し、もっとも厳しく、かつわかりやすい策を打ってきたのはEU政府だ。このキーワードに関連して、EU連合政府はマイクロソフトの技術の閉塞性に対し、巨額の罰金を課してきた。
この状況はマイクロソフトにとってEUはじめe-Govermentというマーケットを大幅に減じかねない巨大なリスクだ。ここで抜本的に改革されるように見える、かつ、EUの策をおさめるのにつじつまがあうような策を講じる必要があったわけだ。
マイクロソフトは、自社のアドバンテージを損なわず、欧州が剣を収められるような、そう、少なくとも相互運用性を確保できるように見えるスキームはないものかと策を練っていたはずだ。自社のソフトウエアをオープンにする以外の選択肢でなければならない。
こういう問題は、企業戦略の観点からは別に難しくない。敵陣営の適格者と戦略提携し、そこをグルーとして使えばいい。世界史、日本史上でも日本の戦国時代でも良く見られた手法だ。
Linuxディストリビューション会社との提携をグルーの役割とするという戦略として、相手はRedhatではなくSUSEというところがポイントだ。欧州出身という色もあり、欧州でのシェアも高い。しかも、傾きかけた自社ディストリビューションのマーケット拡大の動機もある。(八田氏のいうとおり、結果的にSuSEはばばくじを引いたことになるという観測もあって当然だ。)
実際、この提携は広くオープンソース陣営にとって何か情報拡大を意味するわけでもないし、たとえばGoogleのように開発力の提供を得るわけでもない。Novell SUSEとて、たいした技術提携を得られるわけでもない。むしろ、マイクロソフトに技術力を吸い取られる(5年間で35万インシデントも!)こと、双方向にパテント関連で訴訟しないことなど。
(この提携の存在そのものが、オープンソースソフトウェアにすでにパテント侵害問題があることをNovellが勝手に認めてしまったことになりはしないか?これは調べてみる必要がありそうだ。)
相互運用性のための戦略提携ということは、「オープン標準」策定プロセスにおいて、マイクロソフトの発言力を上げることにもつながるだろう。それを実装する担当としてNovell SUSE、キミががんばれよ、と札束で顔をはたかれたという構図にさえ見えるのだ。
かくして、マイクロソフトは順調に市場を広げ、欧州でのリスクをおそらくは大幅に軽減し、かたや、求心力を失いかけていたSuSEのプロモーターが増えるものの、大してオープンソース側はそれによって何かが伸びるわけではない、というオチではないか、と。
以上、オープンソースソフトウェアとマイクロソフトの構図が大きく変わったわけではなく、むしろリスクが高まったのではないかとの備忘録。