21 April, 2007

FreeMind0.9.0に見た、オープンな戦略議論

論理思考ツール、「マインドマップ」。これをハンドリングするソフトウェアは数々ありますが、オープンソースのFreemindは、シンプルすぎるほどのインターフェースで用途を選びません。また、Windows、Mac、Linuxをサポートしているのでユーザの環境の自由度も高いソフトウェアです。リサーチャ、エンジニア問わずマインドマップ使いには必携ツールの地位にあると言っていいでしょう。


FreeMind
http://freemind.sourceforge.net/wiki/index.php/Main_Page



Wikipedia "FreeMind"の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/FreeMind

Freemind 活用クラブ(日本語)
http://www.freemind-club.com/


私は、2005年に出た安定版の0.8.0以来、アップデートもケアしてこなかったのですが、最近このソフトにはまっているマーケの末吉師とのやりとりをきっかけにひさしぶりに見ると、2007年2月に0.9.0 beta9 が出ていました。(ダウンロードページ)


早速インストールし、ざっと見てみました。カレンダー、スケジュールなどの時系列データのハンドリング機能、MindManager形式(.mmap)の読み込み(MindManagerのほうにはFreemindを読み込むプラグインがある)など、いろいろと機能拡張、問題修正が施されているようです。

(FreemindとPowerpointのアウトラインとの連動方式を模索しているのですが、そこには直接的な打ち手は追加されていないのはちょっと残念。いい案あったら教えてください)



なにより、本アップデートの最大のインパクト印象を残すものは、アイコンデザインと起動画面です。え?そんなこと?いえいえ、ぱっと見とってもかっこよくなっているだけではないんです。

ちょっとこのページみてみてください。



Freemindのイメージを変えようって議論です。

以前の蝶のモチーフは盛り上がったマインドマップの形状を想わせました。

新しい、電球のモチーフ、しかもよーく見るとそのフィラメントの部分は蝶の形になっているところにこだわりを感じます。

Talk:Light_bulb_and_butterfly
http://freemind.sourceforge.net/wiki/index.php/Talk:Light_bulb_and_butterfly

Discussion Forums: Open Discussion
https://sourceforge.net/forum/forum.php?thread_id=1686869&forum_id=22101


それぞれに言い分があります。「電球っていいよね」「焼き切れちゃう上に「自由」というイメージのない電球なんてヤダ」「すんげーアイデアを象徴する電球っていいじゃん。だから電球も蝶もあわせたのがイイ」みたいな具合です。

それぞれが、いつのまにか「Freemindは自分にとって何か」という感覚を醸し出してくるのです。この議論、もっと盛り上がるといいなあ。

単に「広く募集」とか「投票」みたいなものはいくらでもあります。そこから一歩突っ込んで、こういうマーケティング的なテーマでアツイ議論が見られるのはOSSプロジェクトならでは、です。とっても面白い。

OSSプロジェクトはもちろんのこと、リアルのプロジェクトでも試しにこういうのやってみちゃうのはどうでしょうか。

10 April, 2007

セキュリティは「ちゃんと」「きちんと」「しっかり」と?

1位:「ちゃんと セキュリティ」158万件。
2位:「しっかり セキュリティ」150万件。
3位:「きちんと セキュリティ」140万件。

これらはこの記事を書く時点でGoogleでヒットした件数です。これを仮に、「セキュリティ解説の御三家」と名づけることにしましょう。まずは、検索結果をしげしげと眺めてみてください。何かもやもやとしませんか。釈然としないというか。

「セキュリティ」のように、高度な(?)概念を人に説明するのは難しい。日本語にはそういうときに便利な言葉がたくさんあります。これが、「御三家」であり、上記のとおり、解説にはひっぱりだこで用いられています。

言葉の意味するところを突っ込んで調べていくと、姿勢、頻度、正確性、網羅性、緻密性、計画性などという要素に分解して説明したほうが意図がびしっと伝わって良さそうなものですが、比較的具体的な言葉、たとえば「綿密(59600件)」「緻密(18万件)」「徹底的(72万件)」「早急(79万件)」などはそれほど使われていません。



そう、セキュリティは、「御三家」により「適切に」やれ、と。ははぁ。

これこそ、封建社会日本の奥ゆかしい文化であり、日本語の奥ゆかしさなのかもしれません。なんとなく上のほうを向かせて、無限遠を目指させておき、何かあっても「対策に漏れがありました」と言わざるを得ない状況に落とし込みます。

そこで言うのです、「けしからん、ちゃんとやってないからだっ!」、と。殺生な話ですが、「セキュリティ解説の御三家」は殿様クラス。逆らう余地を残しません。

なので、実際にセキュリティをなんとかしなきゃいけない現場や、教育の過程などでこの言葉を言っちゃうとダメ。場がとろけちゃうんです。実際にやらなきゃいけないこと、起きている問題の本質からの距離が遠すぎて、顧客は、いや、”セキュリティ専門家”でさえも、何を、どの程度、どうしたらいいのか、根拠を提出しにくくなり、思考の軸を失います。


例)企業として全社的なセキュリティ対策がしっかりと徹底されているか、今一度確認しましょう。
例)情報の収集をきちんと行っているか
例)不要なサービスを立ち上げない
例)DNSサーバを適切に設定する

この「適切に」「確実に」「必要最低限の」などという言葉は御三家よりはちょっとましに見えますが、、、もし、妥当性の目安や、必要・不要の判断のポイントを示すことが必要ですね。さもなくば、そのメッセージは、不安感を煽る以外にどんな効果があるんでしょうか。

# あ、不安を煽るところにビジネスモデルがあるんでしたっけね? ;-p


ところで、最近発表された、注目すべきドキュメントが二つあります。

IPA「安全なウェブサイトの作り方 改訂第2版」
http://www.ipa.go.jp/security/vuln/websecurity.html


産総研「安全なWebサイト利用の鉄則」
http://www.rcis.aist.go.jp/special/websafety2007/


すばらしい。原則的であり、網羅性があります。「御三家問題」も見当たりません。読者がかなりの程度自分で判断できますし、専門家を交えて、より有意義な議論のための基礎資料にすることができます。

まずは、こういうドキュメントをちゃんと読んで・・・。はっ!(汗

すみません。これからは、「セキュリティ解説の御三家」「ちゃんと」「きちんと」「しっかり」)は、なるだけ使わないよう努力します。これからは、セキュリティ解説にこれが含まれている間は右から左へうけながすことにしましょう。

05 April, 2007

ケイタイメールよりあえて国際SMS、しかもSkypeで。

Skypeに国際SMSを発信する機能があるんだが、こんなもの何に使うんだ?まじまじと考えると、あら、便利じゃない?という話。

「ツール」メニューの「SMSメッセージの送信」で送信先を指定するウィンドウが開く。
選択肢には、リアルな電話番号が登録されているコンタクトが一覧で出ているようだ。


そこで、普通に、「090-....」と電話番号を入力し、[追加]をクリックして[OK]クリック。

次にメッセージをぱちぱちと入力できる。逐一、「あと何文字」と出るのでわかりやすい。


送信側は一通およそ7.5円だそうな。通常は国内使用だからあまり気にしないかもしれないが、国際SMSでも同じ価格、となるとドコモで50円、Softbankで100円することを考えると激安だ。しかも、いずれにしても受信側は無料だから人に優しい。(←ここ重要)

私にはケイタイより打ちやすい。また、送信先は画面の許す限り複数指定できるのも魅力。しかも、受信ステータスがとれる

受信側ケイタイの電源を切ってテストしてみたところ、相手が受信してはじめて「保留」から「送信済」に変わったようだ。このSMS、利便性には陰があり、電話番号による乱れ打ちをしてくるスパムの対策のため、SMS機能をオフにしている人も多いようだ。このステータス表示はとっても意味があるよね。

会議や食事のリマインドや、オフィスからの伝言、そうだ海外出張中の連絡なんかにも便利そうだ。

ああ、またSMTP頼みのE-mailを使わない理由が増えてしまった。