22 December, 2006

SPAMをリモートで消しこむマジックハンド

昨日のこと、Thunderbirdでメールを取得しようとすると、8000件とか表示された。唖然。私の場合、メールを取得中にメーラーが異常終了した とか、VPNあるいはSSLトンネルの通信が不意に途切れたというようなケースで、メーラーとサーバのメールボックスの同期関係が失われちゃう。ああ、 すっかり全部読み込み直しなんだな…。サーバでの保存期間をもっと短くしておけばよかったか…。

いや、問題はメールの保存期間ではない。 そのメールのほとんどがSPAMだもの。8000件中、少なくとも7000件はSPAM。それを再fetchしてごみ掃除をするなんて鬱陶しい・・・。

普段、私 のSPAM対策環境は三段構え。サーバでKaspersky Antispam(95%以上判断)、取得経路にPOPFile(私にとってのSPAMを判断)、最後にメーラーのSPAMフィルタ(前者を信じてゴミ箱 に投げ込む)。

サーバにメールが配送された時点で95%は完了している。ただ、サーバ管理者のポリシーから、それらのメールは削除されず、「これは SPAMですよ」というマーキングがしてあるだけ。だから8000通もサーバに残っているわけで、同様の理由でメール通知関連の機能は一切使っていない。

GMailのSPAMハンドリングは便利だが、私にとってGMailは「別系統」であるところに価値を感じているので、メーラからGMailにアクセスするという使い方はしていない。

で、 本題に戻って、8000通も再取得せずになんとかしたい。事前に消えていればかなり便利じゃない?もちろんtelnetで手動でPOPプロトコルをたたく のは十分可能なんだが、8000通もやるのは現実的ではない。そう、欲しいのは、「マジックハンド」のような、POPのDELEコマンドを器用に使えるツールだ。

フリーのツールを探してみたら、Spam Mail Killerというのが見つかった。

http://www.forest.impress.co.jp/lib/inet/mail/antispam/spamkiller.html

ス パムなどの迷惑メールをPOPサーバーから自動で削除するメールチェッカー。タスクトレイに常駐して一定時間おきにPOPサーバーをチェックし、あらかじ め指定した削除条件にあうメールがPOPサーバーにあればサーバーから自動削除。残りを新着メールとしてサウンドやタスクトレイアイコンの点滅で通知す る。削除条件には送信者、宛先、Return-Pathなどに含まれるメールアドレス、およびメールヘッダーの任意の文字列を複数指定できる。・・・ 複数メールアカウント対応で、削除条件の設定画面では新着メールのヘッダーを参照しながら設定できるようになっている。

おお、ゴージャスな機能がついているね。しかも最近アップデートされたようだ。いわゆるBlacklist方式でSPAM対策することを目的に作りこまれて いるので、このツールだけでSPAM対策は完結しない。私の場合、サーバに配送された時点でほとんどの判断が終わっているので、メールヘッダの記載を指定 するだけでかなり十分に機能する。Spamassassinを仕込んでいる人にも有効だろう。条件に正規表現も書けるところがまたイイ。

超便利だわ、これ。
標準ツールに決定。

04 December, 2006

「コンピューターのロック」をするボタン

PCのシャットダウンボタンをデスクトップに設置すると、確かにこれは便利でした。でも、編集中のドキュメントを壊す可能性もあり、ちょっとコワい。結局、「-t 5」くらいのオプションにしています。

利用頻度からすれば、PCのロックのほうが欲しい。この機能はWindowsのビルトイン機能で言うところの「コンピューターのロック」ですね。このショートカットを同様の方法で作ろうと調べると、キーボードショートカット「Windowsキー + L」があると知りましたが、残念ながら、私の常用しているキーボードにはWindowsキーは存在しないもの。

と言っている間に簡単に作れましたので、以下に手順を示します。

1. デスクトップ上で右クリックし、「新規作成」→「ショートカット」を選択する。
「新規作成」→「ショートカット」

2. すると、そのショートカットの内容を記述するように求められるので、
rundll32 user32.dll,LockWorkStation」と記述。(copy & pasteするといいです。)
rundll32 user32.dll,LockWorkStation

3. 「このショートカットの名前」として、自動で表示される「rundll32.exe」ではわかりにくいですので、ここをたとえば「PCのロック」などに変更し、「完了」をクリック。
ショートカットの名前を変更


4. 出来上がり。デフォルトではアイコンの選択の余地がないのがさびしい気もしますが、別に目立つ必要もないし、さりげないのがかえって良いかもね。
「PCのロック」ショートカット完成

思いのほかスムーズにロックしてくれます。デスクを立つ時、ぽちっと押してください。「意図的」なセキュリティ、いいものですよ。

・ ・・・ ・

ここからはオマケ。

このボタン、あまりかっこよくないぞ?という方のために上級者用?TIPSを書いておきます。作成したショートカットを右クリックし、プロパティを開きます。

次に出たウィンドウで「アイコンの変更」をクリック。この時点ではたいした選択肢がない。そこで、

C:\Windows\system32\shell32.dll


あるいは、

%SystemRoot%\system32\shell32.dll

を選択しますと、たくさんアイコンの選択肢が増え、キーホルダーのようなアイコンを選ぶことができます。

Shell32.dllのアイコンだけちょっと拝借

私のデスクトップでは、こんな感じになっています。

PCのロックボタンらしくなりました。

ご参考まで。

10 November, 2006

オープンソースへの評価といえるか?マイクロソフトとノベルの提携


マイクロソフトとノベルの提携に関する一人ブレスト。

Moglen教授のオープンソースライセンスとの兼ね合いなどを懸念する声もあれば、OSDLのオープンソースの重要性への評価だとか、Redhatの勝利宣言とかもあり、オープンソース関連情勢には大きな波紋を呼んだ。

しかし、この提携はマイクロソフトのオープンソースへの評価を意味しているとは言えないんじゃないか。むしろ、どちらかと言えばリスクが高まったかもしれない。(エンドユーザのリスクについてはもう少し考えたいと思う。)

今回の提携で日本での報道ではあまり表に出ない、重要性のある言葉、それは「相互運用性-interoperabilityのための提携」という部分だ。

欧州はじめ、e-Goverment戦略の中で、相互運用性を確保できる技術でないと採用することに問題があるという声は世界中で高まっている。日本もしかり。それに関してマイクロソフトに対し、もっとも厳しく、かつわかりやすい策を打ってきたのはEU政府だ。このキーワードに関連して、EU連合政府はマイクロソフトの技術の閉塞性に対し、巨額の罰金を課してきた。

この状況はマイクロソフトにとってEUはじめe-Govermentというマーケットを大幅に減じかねない巨大なリスクだ。ここで抜本的に改革されるように見える、かつ、EUの策をおさめるのにつじつまがあうような策を講じる必要があったわけだ。

マイクロソフトは、自社のアドバンテージを損なわず、欧州が剣を収められるような、そう、少なくとも相互運用性を確保できるように見えるスキームはないものかと策を練っていたはずだ。自社のソフトウエアをオープンにする以外の選択肢でなければならない。

こういう問題は、企業戦略の観点からは別に難しくない。敵陣営の適格者と戦略提携し、そこをグルーとして使えばいい。世界史、日本史上でも日本の戦国時代でも良く見られた手法だ。

Linuxディストリビューション会社との提携をグルーの役割とするという戦略として、相手はRedhatではなくSUSEというところがポイントだ。欧州出身という色もあり、欧州でのシェアも高い。しかも、傾きかけた自社ディストリビューションのマーケット拡大の動機もある。(八田氏のいうとおり、結果的にSuSEはばばくじを引いたことになるという観測もあって当然だ。)

実際、この提携は広くオープンソース陣営にとって何か情報拡大を意味するわけでもないし、たとえばGoogleのように開発力の提供を得るわけでもない。Novell SUSEとて、たいした技術提携を得られるわけでもない。むしろ、マイクロソフトに技術力を吸い取られる(5年間で35万インシデントも!)こと、双方向にパテント関連で訴訟しないことなど。

(この提携の存在そのものが、オープンソースソフトウェアにすでにパテント侵害問題があることをNovellが勝手に認めてしまったことになりはしないか?これは調べてみる必要がありそうだ。)

相互運用性のための戦略提携ということは、「オープン標準」策定プロセスにおいて、マイクロソフトの発言力を上げることにもつながるだろう。それを実装する担当としてNovell SUSE、キミががんばれよ、と札束で顔をはたかれたという構図にさえ見えるのだ。

かくして、マイクロソフトは順調に市場を広げ、欧州でのリスクをおそらくは大幅に軽減し、かたや、求心力を失いかけていたSuSEのプロモーターが増えるものの、大してオープンソース側はそれによって何かが伸びるわけではない、というオチではないか、と。

以上、オープンソースソフトウェアとマイクロソフトの構図が大きく変わったわけではなく、むしろリスクが高まったのではないかとの備忘録。

27 August, 2006

やっとわかったデュアルネットワークサービス


やあ、そういうのはあるってのは知ってたけど、使い方なんてゼンゼン知らなかった。実家の近辺や、伊豆・伊東あたりは実質FOMA度外視エリアなので、「ケイタイの入らない日々」というロハスを楽しむにはもってこいだ。


しかーし。

昨今、少々田舎でもインターネットはさくっとつながっちゃうんだよな。ケイタイは圏外だけど、インターネットはつながる。その場合、「ちょっと電話でごにょごにょ」とかということだけができないストレスが発生する。


Skypeがあるじゃん。

ああ、確かに。
# いいマイクも見つけたしね ;-)

しかし、そういう郊外におけるインターネットはスピードがそれほど快適だとは限らない。しかも、そうしょっちゅうPCを立ち上げたくないというベクトルもある。

たとえば、移動中の「いざ」に弱い。宿の到着時間が遅れます、とか、空港に向かっているときに、「すんません、遅れるのでもう一つ後ろの便に変えといてちょ!」とかという電話もできないのはイタイ。(まあ、計画的に動けという話はさておき)

結局(いざというときは)ケイタイが入るに越したことはない、という、さも妥協的なモードに落ち込んでいくのである。


で、どうした?

今までは、FOMA端末しか持って行ってなかった。しかも、持っている機種がこれはデュアルネットワークに「対応している」なんてくらいの、実にあいまいな言葉でしか理解していないため、まさか使わなくなったmova端末が必要になるとは知らなかったのだ。やれやれ。


そんな旅先でのある日の午後。

「あ、そうなんだー。mova端末持ってないとダメなんだー。え、でも、もう使用不可になってる端末で、どうやって切り替えダイヤル(1540)できるの?げげ!1540は特別にかけられる番号だったのか!」


  • FOMAが圏外になってからでもmova端末で処理すればOK。

  • FOMAの無料通話分もあてがわれる。

  • iModeも使えるし、マイメニューは同じものが出る。

  • ネットワーク暗証番号だけあればよし。

あれ、どうやってネットワーク暗証番号だけでケイタイを識別するんだろう・・・。きっと、この使わなくなったケイタイにはまだなにがしかが残っているんだな。


ん。てことは、、、
このeasyなネットワーク切り替えシステムを理解していなかったのもコワイ話だぞ。

たとえば、FOMA端末をなくしてしまった場合でも、とりあえずmovaで「こっちに持ってくる」ことはできる。これはOK。しかし、このmova端末は稼働中のFOMA端末くらい重要なものであるということだ。つまり、どこかセキュアなところに保管しておかなければ、あっさり電話ジャックができちゃうじゃないか。ネットワーク暗証番号はたった数字4ケタだし。

こいつは危険なサービスだ。
ちゃんと使おう。

28 June, 2006

KIPA訪問記

日経BP ITPro Watcher「OSSセンター談話室」というblog(?)に、「Linuxを政府標準に!? KIPAで見た韓国のOSS推進強化アプローチ」という写真つきの記事を寄稿しました。ぜひご覧ください。

今日日本HPの宇佐美さんと話したところによると、Linuxワークステーション市場はメディアではあまり注目を浴びませんが、日本でも一度に数百台単位の組織的導入例が、右肩上がりで着々と進んでいるそうですよ。問題は売り手側の、「パソコン市場だとの思い込み」による思考停止なのかもしれませんね。

道具は売り手ではなく、使う人によって成長する。ビジネスプランニングで陥りやすいパターンの一つとして覚えておきたいと思います。

16 May, 2006

「オープンソースはわかりにくい」を払拭できるか?OSS iPedia公開

もう何年も前の話です。ある人に、「オープンソースの関連の話も文書もニュースも、それをちゃんと読むためにはもう一歩踏み込んだ解説が必要だよ、okdt。大事そうなのはなんとなくわかるけど、正直言って読んでいてさっぱりわからない。」と言われたことがあります。なるほど…。確かに、基本的なことひとつ取って見ても、日本語で調べられるツールになりそうなものはないんですよね。オープンソース関連を解説する辞書みたいなものがあればいいのかしら。でも、作るとなると…。そんなことを思った記憶があります。


そんなわけもあり、2006年5月15日、IPA OSSセンターが、オープンソース情報データベースOSS iPediaを公開したのをとっても喜んでいます。OSSの性能情報OSS導入事例、そしてナレッジベースとしてQ&A用語解説ディレクトリを盛り込んでいます。


OSS普及拡大の観点からすると、これが、「オープンソースはわかりにくい」という声に応える、リーディングツール(reading tool)になることと、ここ最近のエンジニア、例えばミッションクリティカル系のエンジニアで、OSSに関する理解を得なければならない状況に置かれている方々にとっては、有用なリファレンスのひとつになるんじゃないかと思います。


本サイトは、昨年の秋よりIPA内に設置された、データベース検討委員会、後のOSSセンターのデータベースWGにて主にアレンジされました。この委員会はNTTデータ玉置さんがまとめ役をしてくださったんですが、これに参画させていただいたのはとてもエキサイティングな経験になりました。このサイトが 非常に多くの方々の協力によるものであることが「謝辞」のページに記載されています。


5月15日、フェーズ1の公開を素直に喜んでいますし、すでに「ライセンス関連の情報が役立った」などの声も寄せられていて、とてもうれしいです。もっともっと「使える」ものとしていけたらと思っています。


そのためにも、まずは自分が読んで勉強せねば。

http://ossipedia.ipa.go.jp/